第7回

車体の向きから無理な進路変更を見破る!?

JAFMate 2015年5月号掲載

編集部:今回の問題は、3車線ある道路での無理な進路変更です。路肩から発進してきた車が、Uターンするため一気に2車線分進路変更するケースですが、このようなケースは多いのでしょうか?

問題写真

結果写真1

結果写真2

動画で見てみる

長山先生:Uターンのために一挙に2車線以上進路変更することは稀でしょうけど、車線の多い道路では、合流してきた車や左端の車線を走行する車が右端の車線まで一挙に進路変更するケースはしばしばあります。幹線道路以外には、高速道路でも見られるケースですね。

編集部:首都高や阪神高速など都市高速のジャンクションでは起こりそうですね。

長山先生:おっしゃるとおりで、阪神高速の環状線なんかは4車線もあって、しかも合流地点と出口が接近している所も少なくありません。たとえば、環状線に合流して、すぐ近くにある反対側の出口で下りようとすると、一挙に2車線、3車線移動する必要が出てきます。

編集部:首都高も難しいですけど、3車線以上を一気に移動するようなことは、まずないですね。都市高速は特殊な例として、今回のような一般道路の場合、相手の車が2車線以上続けて進路変更する動きは、どうやって予測すればいいのでしょうか?

長山先生:まず、進路変更が起きそうな場所に注意します。今回のようにUターンできる場所や右折レーンの手前などは要注意です。逆に言えば、しばらく交差点がなかったり、中央分離帯が続くような場所では、慌てて右端の車線に入る必要はないので、無理な進路変更をする車もまず出てきません。

編集部:なるほど、合流してくる車がいたからと言って、続けて進路変更する理由がない場所では、神経質になる必要はないんですね。

長山先生:そうです。進路変更が起きそうな場所に差し掛かり、合流してくる車などがいたら注意すればいいのです。また、その際、車の角度にも注目しましょう。

編集部:合流してくる車の向きのことですか?

長山先生:そうです。単に1車線のみ進路変更する場合、車体の向きはほとんど真っ直ぐで、わずかに斜めに向く程度ですが、今回のように短い距離で続けて進路変更しようとすると、車体には角度が付いて、かなり斜めになるはずです。

編集部:結果写真の合流車も、たしかに角度が付いていますね。

長山先生:この角度がさらに危険を増大させるのです。進路変更する際は、ドライバーは移動先の車線を走る車両の有無をドアミラーなどで確認する必要がありますが、図1のようにA車が第1車線に沿って走行している場合、第3車線を走ってくるB車をドアミラーで認知できますが、図2のようにA車が斜めに進行していると、ドアミラーで確認できる範囲を外れて、B車のことは認識できません。

編集部:ドアミラーで確認できなければ、当然目視をしなければいけませんよね。

長山先生:もちろんそうです。大切な情報を把握できないまま走行することは、事故の発生につながる蓋然性が非常に高くなり、無謀運転となってしまいます。

編集部:交通量にもよりまずが、目視もせずに2車線を進路変更するのは自殺行為ですね。もしかしたら、進路変更するドライバーは多少車が来ていても、「相手が減速してくれたり、避けてくれるのでは?」と甘く考えているのかしれませんね。

長山先生:その可能性は十分考えられます。「相手が譲ってくれるだろう」と、相手に期待してそのまま進行して事故につながるケースは少なくありません。「相手に期待して進む」ということは、車を運転する場合の禁じ手であることを強く認識しておくことが重要で、これは危険予知の重要事項でもあります。

長山泰久(大阪大学名誉教授)

大阪大学名誉教授長山泰久1960年大阪大学大学院文学研究科博士課程修了後、旧西ドイツ・ハイデルブルグ大学に留学。追手門学院大学、大阪大学人間科学部教授を歴任。専門は交通心理学。91年より『JAFMATE』危険予知ページの監修を務める。

バックナンバー

トップに
戻るで