窯元 炭玄 黒岩辰徳さんのお話

模様
若き窯元

 この炭玄を立ちあげて、8年目になります。高校を卒業して、高知市内に出たんですけど、そこで地元のよさに気付きまして……。今までは日常やったものが、こんなによかったんだなって。地元に帰りたいな、子どもができても地元で育てたいな、という思いもあって戻ることにしたんです。

 高知県東部は雇用の場が少なくて、帰ってきたくても帰ってこれない事情もあります。ここに移住したいと思ってもらえたとしても、仕事がない。それやったら、そういう雇用の受け皿をつくりたいな、と思っていたときに、はじめて土佐備長炭を知ったんです。それまでは、地元におりながら、触れたことはなかったんです。炭焼きさんは、煙の出るもんなんで、山の奥のほうでやってたんで、触れる機会がなかったんですね。たまたま新聞で、中国産の備長炭が全国シェアの8割を占めているということを知って驚いたんですよ。そうこうしているうちに、中国政府が森林保護の関係で輸出は禁止やと。そういう記事を見つけて、8割が減るんやったら、この業界がチャンスや!と思って弟子入りをしたんです。今、盛り返していく産業として、できるだけ町から近くでやりたいという思いで、ここで窯をかまえてるんです。焼き鳥屋さんや、料理屋さんなど、直接の取り引きしてます。おかげさまで生産が追いついてない状態です。

 スタッフは私を含めて6名。平均年齢は29歳です。独立したのが3人いて、自分で窯を持ってやってます。4月に2人独立する予定です。独立したら、基本的に焼いた炭は炭玄に卸してもらって、うちが販売をするという風にしていきたいなと思っています。今営業自体はすべて止めてるんですが。おかげさまでクチコミで広がって、お電話はたくさん頂いてます。最近は、アメリカやシンガポールからも注文をいただくんですけど、国内自体にまったく供給できてない状態なんで、そちらはお断りはさせてもらってる状態で……。

 炭と備長炭は、まったく違うものです。使う用途によりますが、業務用で使うとか、長時間一定した温度で……そういったことを考えますと、やっぱり備長炭がいちばんですね。備長炭は、世界一硬い炭です。窯のなかに原木10トンを入れると、窯から出てくる炭の量は10分の1、つまり1トンになります。それだけ水分が抜けてるってことです。樹力、木の力をぐっと圧縮したのが備長炭。黒炭はここまで締まってませんので、ブワッと高温で一気に燃えます。

 原木はウバメガシなどの地元の木です。いま、樫山が大きくなりすぎているので、台風で根っこが持たんようになってきてるんです。それで倒れて土砂崩れになったりとか……。だからできるだけ早く切ってあげて、全部に日を当ててあげて再生していくというのが、炭焼きのひとつ、自分の仕事であると思っています。

 季節によっても違うし、たとえ同じやり方をしてたとしても、同じものは絶対に出てこない。経験を重ねて、匂いを覚えて……これはあのときに似ちゅうな、これはこの対処の仕方やな、と頭の中の引き出しをフルに開けないとできない。町がああいうふうに栄えたのも、品質のよさやったりするので、そこは自分ら若い世代も守っていかないかんなと思っています。

■ 土佐備長炭窯元 炭玄 ■
【問い合わせ】0887-24-5811
https://www.facebook.com/murotokirakawasumigen

窯

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