「自分の命は自分で守れる子供になってほしい。
『まだ震災?』と言われても続けていきます」

●三陸鉄道「震災学習列車」二橋守さん

後ろに見えるのは、期間限定のこたつ列車。震災学習列車以外にも、ユニークな企画列車も運行している。南リアス線は4月5日(土)から、北リアス線は4月6日(日)から、いよいよ全線運行を再開。

震災の前後の様子が分かるパネル等も使い、分かりやすく説明している。
(撮影=落合憲弘)

●三陸鉄道「震災学習列車」

運行本部 北リアス線運行部 二橋守さん

震災学習列車の取り組みは2012年6月から始めまして、2014年1月末までで157団体、7,381名の方が参加されています。アメリカ、オーストラリア、中国、フィリピンなど海外からの参加もあります。

貸切の列車に乗ってもらい、40分の区間を70分かけながら、ガイドが震災時のお話をします。途中線路上で列車を止めてお話することもあります。うちは最大4両編成ですので、ガイドも4人。私ともう一人、それから駅長と、運転士です。普通の列車も運行しますので、スケジュール編成が至難の業です。今のところ、旅行会社の募集方ツアーは受け入れていないんですが、10人ぐらいの知り合いで貸切にしていらっしゃる方もいますよ。修学旅行や研修旅行なども多いですね。

最初は、次世代の子どもたちに、来て・見て・感じてほしい、将来の防災に役立ててほしいという気持ちから始めた企画です。大人は防災について知識がありますよね。でも子どもたちはどうなのか。起きたことを聞いて、見て、そして命とは絆とは、そこも考えてほしいと。

ですから、体験した子どもたちが「今日学習したことを、家に帰って親にも伝えます」と言ってくれたことが一番うれしかったですね。「今の避難場所では甘いなと思った」という意見もありました。

現地で見ることは、テレビを見ることとは違います。なので、震災学習列車を運行するときは、何両編成であっても、1両に一人必ずガイドがついてお話しし、内容をテープで流さないことにしました。ガイドにマニュアルはないですから、各車両のガイドで違う話をすることもあります。

「がれき」という言葉ひとつについても、ただのゴミではなくて、もともとはみんなの大切な財産で、思い出がたくさん詰まったものだったんですよね。そういった現地に住む私たちが感じる違和感などもお話しています。

私の場合、来てくれた人に一番強く伝えたいことは、「自分の命は自分で守れる子どもになって」ということです。親や先生たちがいつも守ってくれると思わないで。自分自身で命を守れる子どもになってほしい。そして、それぞれのいざという時を想像してみて、といつもお話しています。三陸には「つなみてんでんこ」という有名な言葉があります。「津波が来たら、親も兄弟も構わず、てんでんばらばらに逃げること。自分の命を守ること」。それは親や兄弟を見捨てることじゃないんです。何かあったとき、みんな自分で逃げると信じて、自分の命を全力で守りぬく。それがお互いのためになるということです。ですから、家族でいざという時のことを、事前に話し合っていてほしいと思いますね。

被災地の失敗など、話すのがつらい話もあります。地域に住む私たちの防災意識の低下があったこと。そこがダメだった。でも、同じことは繰り返したくないですから。「伝えていくこと」が被災地がやらないといけないことだと思うんです。地域が少しずつ復興しても伝え続けて、意識を低下させないこと。「まだ震災?」と言われることもあっても発信し続けていくつもりですし、震災学習列車も続けていきます。

被災された方にとって厳しい時期は、もしかして今ではないかとも思います。もう3年にもなるのに、仮設住宅のままだったり、落ち着いてきてふと津波のことを思い出したり、家族や仕事など失ったものや、将来のことを考えたり……つらいですね。

三陸鉄道としては、みなさまからの支援にはとても感謝していて、いつも恩返しをしたいという気持ちでいます。被災地ではありますが、「どうぞご遠慮せずにお越しください。そして、震災学習列車を降りたら楽しんで」ともお伝えしています。三陸鉄道の全線開通は4月上旬を予定しています(談)。

<DATA>

岩手県沿岸の田野畑~久慈、盛~吉浜(4月からは盛~釜石)駅間で運行。

★1両5万5000円(税込)の貸切制で最大57名まで乗車できる。8か月前から予約開始。学校や会社、友人同士で集まってなどの利用が多いという。

★3月11日(火)は、個人で参加できる震災学習列車を運行。80名限定で1名片道1,500円(往復は2,000円)で参加できる。問合せはTEL : 0194-52-0177へ。