◆整備士紹介

整備士 塩田 雄基さん

整備士
塩田 雄基さん

  • ・一級小型自動車整備士
  • ・自動車検査員
  • ・中古自動車査定士
  • ・中古自動車販売士
  • ・中型自動車免許(限定解除)
整備士 須永 圭則さん

整備士
須永 圭則さん

  • ・二級ガソリン自動車整備士
  • ・自動車検査員
  • ・機械検査技能士
  • ・ガス溶接技能講習
  • ・大型自動車免許

――早速ですが、競技大会でも先端技術への対応力が試されるのですか?

  • 塩田:はい。その通りです。そのため競技大会には、須永さんがコンピュータ・システム診断関連のスキャンツール応用研修修了資格を持っていたので二人で参加することにしたんです。
  • 須永:クルマがどんどん進歩してきていますから、これからは、こうした知識や技術が必要だと思います。すでにハイブリッド車や電気自動車の整備には低圧電気取扱の資格が必要になってきていますしね。
  • 塩田:競技大会は、日々の点検整備の中で的確に不具合箇所を発見し、必要な整備を早急に行えるようにしていくための勉強や訓練といった意味もあると思います。
  • 須永:大会も回を重ねるごとに新しい技術への対応力が重要視されてきているようですから、出場する以上はどんな内容の技術が課題として出されてもきちんと対応できるようにしておこうと思いましたね。

――競技大会のために相当勉強されたということですか?

  • 須永:競技大会のためだけではなく、お客さまの大切なクルマのためにという意味で、日々の勉強は欠かせないですから。
  • 塩田:それに、最近のクルマはエンジンもちろんABS(アンチロックブレーキ)やVSC(横滑り防止)、ナビや電子メータなど、あらゆるシステムが電子制御されていますし、技術もどんどん進化していますから、常に新しい情報に触れ、知識を更新していかないと整備の面でも後れを取ります。
  • 須永:大会でもスキャンツールを使って、不具合箇所を見つけるという課題もあります。スキャンツールというのは、クルマに接続してコンピュータと通信を行い、解析と整備のための情報を表示する装置で、表示されたデータを読み解く技能が試されます。日ごろからの整備へ向き合う姿勢や勉強が重要だと思いますね。
  • 塩田:これからは、特に新技術に対応するために従来の整備の知識・技術に加えて、電気から電子までの広い知識が必要だと思います。
    近い将来AI(人工知能)への対応も求められるかもしれません。
  • 塩田:大会の課題として想定されるそういった課題への対応・練習を周りの皆さんが本当に細かく教えてくださったから、本番ではかなり落ち着いて競技に集中できました。

――そうした努力が結果に結びついたのですね。

  • 塩田:結果についてはそれほど気にしていませんでした。
    とにかくやり切った感というか責任を果たしたというか、競技が終わった後はホッとして二人ともぼーっとしてました。
  • 須永:優勝の瞬間も、実感がなくて名前を呼ばれたから立たなければ、という感じでしたね。
 

――ところで「今のクルマ」についてお伺いしたいのですが、今イチオシのクルマというのはありますか?

  • 須永:私は、家庭でもコンセントから直接充電できる“プラグインハイブリッド車”が旬だと思っています。
    燃費がひとつのポイントになっていますからね。

――近年はハイブリッド車が広く普及してきましたが、こちらではいかがですか?

  • 須永:実は、この地域ではまだそれほどハイブリッド車の割合は高くはありません。というのもクルマが生活必需品で、1人1台クルマがないと困るから、どうしても維持費の安い軽自動車が多くなりがちです。入庫するクルマの7割ぐらいは軽自動車ですね。でも徐々にハイブリッド車は増えてくると思いますので、整備できる技術はもちろんマスターしています。
  • 塩田:先ほどもお話しましたけれど、ハイブリッド車をはじめ新しいタイプのクルマが増えると、それに伴って新しい技術の勉強も必要になります。ですから、以前から二人とも最新の技術やクルマの情報をいち早く知るために、インターネットを通じて常に情報が入ってくるようにしています。

――情報収集は重要ですからね。塩田さんは今が旬のクルマはなんだとお考えになりますか?

  • 塩田:「AMT」搭載のクルマです。AMTというのはマニュアル車と同じ構造のトランスミッションで、クラッチ操作を自動で行う仕組みです。メンテナンスしやすいうえ、パワーの伝達効率もいいので燃費もいいというのが特徴です。

――燃費からいえばハイブリッド車も低燃費ですが・・・。

  • 塩田:確かに低燃費を求めてハイブリッド車を所有したいという気持ちはわかります。ただ、ほとんど近所でしか使わない人たちにとってハイブリッド車はあまりコストパフォーマンスがよいとは言えない、と僕は思っています。

――ハイブリッド車よりガソリン車にした方がいいということですか?

  • 塩田:そういうことではないのです。
    ハイブリッド車の良さ、ガソリン車の良さをそれぞれきちんと把握して買うのがいいと思っています。

――具体的にはどんな違いがあるのですか?

  • 塩田:たとえば、ハイブリッド車はモーターを使うのでガソリンの使用量が少なく、アイドリングストップも装備されているので、結果として燃費がいい。その点でストップ&ゴーを繰り返す街中の走行に向いています。一方で、ガソリン車は短いサイクルでクルマを乗り換える方には購入や修理費の面でお得感があるとか、高速道路をよく使う方に向いています。ハイブリッドは運動エネルギーを電気に変えて、発進する際にモーターを動かし燃費の効率化を図っているので、減速することが少ない高速道路などでの走行では燃費が落ちてしまうし、充電も十分に行われない可能性が高いですからね。
  • 須永:簡単には言えませんけれど、車両価格の差額と燃費で浮いたガソリン代とで計算すると、走行距離の多い方が数字的には良いわけで、どのくらい乗るか、距離と年数を考えて購入した方がいいんでしょうね。
 
▲コンピュータ・システム診断 認定店の看板
▲FAINESによる整備情報の収集
▲スキャンツールによる機能診断

――選択が難しい時代になってきますね。これからクルマが多様化してくると、ますます選びにくくなりませんか?

  • 須永:そうなるかもしれませんね。最近ハイブリッド車が普及してきましたが、今後は電気自動車も普及してくるでしょうし、選択肢が増えて悩みそうですね。
  • 塩田:確かにそう思います。
  • 須永:今は燃費が購入のひとつのポイントになっていますけれど、これからはクルマを長く乗る時代になると思いますね。燃費という観点からだと、排気量を小さくしてターボをつけたダウンサイジングターボはヨーロッパでの普及率は高いので、もっと普及してもよさそうですしね。
  • 塩田:ギアが2系統ありそれぞれにクラッチがある自動変速機構のDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を搭載したクルマもそうですね。そのほかにも今後は先端技術が投入されたクルマが数多く登場してくると思います。

――未来のクルマの夢でもある自動運転に先立って、実用化が進んでいる先進運転支援システム(ADAS)などは、その最たるものだと思いますが・・・。

  • 須永:ADASは歩行者の安全も含めて、ドライバーの安全な運転を支援するだけではなくて、運転の快適さや環境性能の向上も期待できそうですね。
  • 塩田:そうなると勉強しなければいけないことがますます増えてきます。
  • 須永:我々の工場が認定を受けているコンピュータ・システム診断認定店はこれからの整備工場、整備士にとって欠かせないものになってくると思います。
  • 塩田:インターネットを活用した整備情報提供システムであるFAINES※3もそうですね。整備マニュアル情報をはじめ、故障整備事例、新型車・新機構の紹介、回路図、点検基準値、標準作業点数など、プロに不可欠なさまざまな情報を満載しています。
  • 須永:クルマが進化しても効率的な整備のために、インターネットに接続できるパソコンがあれば、会員登録するだけで、いつでも・どこでも・すぐに必要な情報を閲覧できるFAINESなどをどんどん活用していくことが、これからの整備工場には必要だと思います。
  • 塩田:未来のクルマも同じだと思いますが、クルマが持てる性能を発揮するためには、コンピュータ制御の知識はもちろんですが、機能診断をするための技術の習得も必要だと思います。
  • 須永:そのキーになるのがコンピュータ・システム診断でしょう。
    これからの整備工場、整備士には不可欠な技術だと思います。
 

――これからの整備工場、整備士のお話が出てきたところで、最後に今後の点検整備の在り方についてお聞かせください。

  • 塩田:クルマの定期点検はますます重要になってくると思いますね。というのも、クルマがどんどん高性能なシステムを採用してきているので、ますます専門性の高い、高品質な整備が求められてくると思うからです。おすすめできませんでしたが、少し前まではユーザー車検などでも済んでいたかもしれません。しかし、これからは安心安全で快適なドライブを楽しんでいただくためにも、我々プロである整備工場に高度な点検整備を任せていただく必要があると思いますね。

――とはいうものの最近のユーザーはあまり1 年点検をはじめ定期点検を受けたがりませんけれど・・・。

  • 須永:自分の命を預けているという自覚を持っていただきたいですね。定期点検は部品などの消耗度をチェックする予防整備です。何かが起こってからでは手遅れで、重大な事態につながる恐れもありますから、必ずきちんと受けるべきです。クルマの性能を最大限に発揮させるためにも、予防整備の面からも定期的な点検整備は絶対必要です。
  • 塩田:たとえば定期点検を受けて、もしその時に整備する箇所が見つかり、車検までの間に起こるかも知れない大きな故障を未然に防ぐことができたら、安心安全という基本的なことはもちろんのこと、大きな故障の発生が防げて高額な修理費用の発生も防げるという一挙両得につながりますね。
  • 須永:しかも、故障してから高額な修理費用の負担が生じたり、故障しないとしても車検の時に一度に大きな費用が発生するのではなく、点検時と車検時とで費用の分散にもなりますし、とにかくいいことづくめなんですよ。
  • 塩田:それをきちんと説明して納得していただくことも、我々整備士の役割ですね。もっとわかりやすい説明を心がけて、安全を確保する努力をしなければいけませんね。

――クルマの発展、技術の進展を考えると、今後は整備工場としてももっと変わっていかなければなりませんね。

  • 塩田:整備工場はたくさんありますが、地域内でお互い助け合って成長していくことも大事だと思っています。たとえば、我々の工場は軽自動車が多いのですが、大型車が入ることもあります。そんな時に大型車が得意な整備工場に診断で助けていただく。逆の場合は我々がサポートするというカタチですね。
  • 須永:うちも含めてこれからの整備工場がもっと気軽にお客さまに来ていただくためには、信頼の醸成や高度な技術の習得は必須です。
  • 塩田:須永さんは、故障を直すだけではなくて、「なぜ故障が起きたのか」まで考えて点検整備をしているので、不具合箇所の修理にとどまらない、故障につながった他の不具合まで発見され、信頼されていますよね。
  • 須永:不具合箇所以外の修理でも安全につながるので絶対に必要だと思っていますが、故障による大きな出費を未然に防ぐという観点からも、十分に説明して納得していただくことが求められます。だからわかりやすい説明になるように常に気を遣っているのです。

――確かに、要望をきちんと聞きお客さんの身になって考えることはとても重要ですね。

  • 塩田:そうですね。これからも、整備業界の未来に向けてさまざまなことをもっともっと勉強して、後進の育成にもさらに努力しなければいけないと思っています。
  • 須永:お互いにやることは山積みですね。