この時期に“イルミネーション”と聞くと、クリスマスを思い浮かべるが、今回はエコの話。東京の都市高速を運営する首都高が、クルマが通行するときに道路に与える振動エネルギーを電気に変換し、それを橋梁のイルミネーションに利用する実験を今月から始めた。
振動エネルギーを電気に変換する方法は、電気信号を振動に変えて音を出すスピーカーの原理を逆に利用したものと考えれば分かりやすい。圧力が加わると電気が発生する「圧電素子」を利用して、受けた振動で電気を発生させる。今回、首都高は、この圧電素子を使用した発電ユニットを、中央環状線の五色桜大橋に設置、電気を得るとともに、これを五色桜大橋のイルミネーションの点灯に利用している。

イルミーネーションを点灯した五色桜大橋
(写真=首都高速道路株式会社)
このような振動から電気を得る仕組みは、これまでにも駅構内での雑踏を利用する「発電床」など研究が行われている。しかし、実際に実用化された例はほとんどない。というのも、この方法は、きわめて微弱な電力しか得ることが出来ず、コストに見合わないからだ。今回の首都高のプロジェクトでも、横61センチ×縦30センチの大きさのユニットを10台設置して、得られる電力はわずか0.1W(Wh:ワットアワー)。一週間充電したとしても、20W電球を一時間弱しか点灯させることができない発電量なのだ。
首都高によると、当初は10台のユニットで計3W程度の発電を想定して製作を始めたものの、実際に設置すると、期待するほどの能力が出なかったのだという。ただ、発電能力については、技術開発によって現在の100倍程度まで上げることが可能だと見ているという。その場合、首都高のトンネル以外の高架部分約235km全てに設置したとすると、東京23区約400万世帯の使用電力の約40%をカバーできる計算になるという。
圧電素子の寿命は一般に長いため、いったん設置すれば、長期的にコストは低減していくと考えられる。また、自然エネルギーを利用した自家発電という点で二酸化炭素の削減にもつながるので、エコとしても価値が大きい。首都高では、本格的な「首都高発電」の実現に向けて技術開発を進めていくとしている。

