なんでも乗り物 未来の船は水素で走る!
CO2排出ゼロの「NYKスーパーエコシップ2050」って何だ?

日本郵船は11月14日、水素で走るCO2排出ゼロのコンセプトシップ「NYKスーパーエコシップ2050」を発表した。

2018年11月30日 掲載

JAF メディアワークス IT Media部 秋月新一郎

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 水素で走るのはクルマだけではない。船の世界にも、電動化の波が着々と押し寄せつつある。日本郵船が未来の自動車運搬船を想定しデザインした「NYKスーパーエコシップ2050」は、まさにその一例だ。

一度に約6500台の乗用車を運ぶ能力を持つ、現在の運搬船と同等のサイズで設計されたこの船は、全長199.9m、全幅49.0mと巨大だ。だが、この船が従来型と決定的に違うのは、燃料をこれまでの化石燃料から、再生可能エネルギー由来の"水素"に変更した点にある。発電時に生成されるのは水だけで、二酸化炭素(CO2)の排出は原則ゼロ。エンジンではなくモーターを駆動し航行する。

 船底に配置される燃料電池の水素タンクの容量は1900㎥で、約21日分の航行に必要なエネルギーを貯めておくことができ、また甲板の約9000㎡に敷き詰められた可動式太陽光パネルにより航続距離をさらに伸ばすことも可能だという。

 面白いのは、推進装置がもはやプロペラではなく、イルカの尾びれのような複数のフラップ状のフィン「Flapping Foil」を動作させて進むということ。これにより今までより10%高い推進効率を得られるというから驚きだ。

 さらに船体の構造には、軽量化を実現するため自然界の生物・植物の構造や形態から発想を得て設計されたバイオニックデザインを採用。従来の造船業にはなかった数多くのアイディアが散りばめられている。

 "水素"というとトヨタ MIRAIに代表されるFCV(燃料電池車)ばかりに目が行きがちだが、実際には船舶に関しても世界各国で研究開発が進められている。2009年には燃料電池を推進システムの一部として使用した最初の商用船「Viking Lady」がノルウェーで就航。ドイツでは2005年にディーゼルと燃料電池を推進力としたハイブリッド潜水艦「212A」が就役している。

 潜水艦に関しては、環境問題というよりも静音性の確保という理由で採用されているわけだが、過酷な環境下での運用を要求される軍事技術として採用されているのは興味深いところ。日本でも次期潜水艦の基幹として水素を含めた電動化技術が研究されており、先日はディーゼルエンジンとリチウムイオンバッテリーを組み合わせた世界初の潜水艦として「おうりゅう」が進水したばかり。

 現時点ではNYKスーパーエコシップ2050もあくまでコンセプト、という位置付けだが今後同社では実船採用に向けて開発を続けていくという。クルマだけでなく、船の世界も電動化の波はすぐそこまでやってきているようだ。

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