セーフティ・交通 2018年の交通事故死者数は前年比162人減。さらなる減少のカギは高齢者が握る?

毎年1月の初旬になると、昨年の交通事故死者数の速報値が発表される。2016年、2017年と2年連続で死者数は4000人を下回ったが2018年はどうだったのだろうか。また、内閣府が設定している目標「2020年までに交通事故死者数2500人以下」は達成できるのだろうか。

2019年01月15日 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 大槻 祐士

交通事故死者数は統計開始以来最少!

2018交通事故死者数

2018年の発生件数および負傷者数は、交通事故日報集計システムにより集計された速報値である。指数は、1948年を100とした値である。

 交通事故の集計および分析を行っている交通事故総合分析センター(ITARDA)および警察庁は2019年1月4日、2018年の年間交通事故死者数を発表した。それによると、2018年の全国の交通事故死者数は3532人。2017年の3694人と比較すると162人減り、3年連続で4000人を下回った。2年連続で統計開始以来最少の交通事故死者数となった。

2018交通事故死者数の推移

1948~2018年までの交通事故死者数の推移。1971年以前の交通事故死者数には、沖縄県を含まない。

 さて、ここで、交通事故死者数の統計が残っている1948年から今日に至るまでを振り返ってみよう。上グラフを見ると、交通事故死者数がピークに達したのは、1970年の1万6765人。この前後数年は「第一次交通戦争」と言われている。1度減少した交通事故死者数が再び上昇し、1万人を超える1988年からの数年は「第二次交通戦争」と言われている。

 警察庁(*1)によると、第一次交通戦争のころは、運転免許保有者数や自動車保有台数の増加、高速道路等の道路整備の進展等により自動車の走行キロ数が大幅に増加した時期である。一方で、信号機や歩道等の交通安全設備等の整備が不十分だったため、自動車の重大事故、歩行者衝突事故による死者が多かったという。

 第二次交通戦争のころは、運転免許保有者数や自転車保有台数の増加等により、自動車の走行キロ数が引き続き増加。第二次ベビーブーム世代(昭和46年~49年生まれ)が運転免許取得年齢に達し、運転技能が十分ではない若者の運転者が急増したため、自動車乗車中の死者が多かったという。

*1「平成29年における交通死亡事故の特徴等について 」2018年2月15日警察庁交通局発行

 その後、法整備や交通環境整備が進み、自動車技術の進歩(エアバッグ、ABS、車体構造の革新的進歩など)、救急救命技術の進歩などもあって死者数は4000人を下回るまで減少した。

 しかし内閣府発表の第10次交通安全基本計画では、2020年までに交通事故死者数を年間2500人以下にするとしている。この目標を達成するにはあと2年で約30%減らす必要があり、このままでは達成が厳しい状況と言わざるを得ない。現代における、交通事故死者数減少の課題はどこにあるのだろうか。

交通事故死者数に占める高齢者の割合

2018年交通事故死者数における全年齢と高齢者(65歳以上)の推移比較

赤色が全年齢死者数、緑色が高齢者死者数を示している。2018年の高齢者死者数は、交通事故日報集計システムにより集計された速報値である。

 上グラフのように、高齢者の交通事故死者数は減少し続けていて、2017年の2020人から54人減少し、2018年は1966人となっている。しかし、全年齢の推移と比較すると、その減少スピードは緩やかであることがわかる。

2018年交通事故死者数に占める高齢者(65歳以上)の推移

増減数(率)は、前年と比較した値。指数は、2008年を100としたものである。

 次に上表を見てみよう。交通事故死者数全体に占める高齢者の割合は2018年で55.7%。実に半数以上が高齢者であることが分かる。

 高齢運転者が死亡事故を起こしやすいことは、関連記事(体調変化によって起こる事故を調査。高齢化社会における事故予防に必要なこととは?)で詳報しているが、実は、高齢者の状態別死者数は、自動車乗車中の死亡事故よりも歩行中の死亡事故の方が多い。つまり、高齢者が交通事故で死亡することを防ぐためには、先進安全自動車などの技術面の進歩で運転者をサポートすることと同時に、バリアフリー化された交通環境の形成で歩行者保護を推進することが必要である。今後も高齢者の人口は増加していくので、早急な対応が求められる。