JAF Mate Neo 読者プレゼント & 展覧会情報

2017/12/11

【2017/12/1~2018/3/21】
生きることと生きものへの
愛が溢れる「熊谷守一展」

00_kumagai_00.jpg

熊谷守一 《猫》 1965年 愛知県美術館 木村定三コレクション

 画家・熊谷守一(くまがい・もりかず)の大回顧展「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」が、東京国立近代美術館にて、2018年3月21日まで開催中だ。

約200点の作品が集結した大回顧展

 無駄を一切そぎ落とし、対象の本質を捉えた「守一様式」と呼ばれる絵で有名な作家・熊谷守一。花や鳥や虫などの身近なモチーフを、明るい色彩と単純化されたかたちで描いたこれら穏やかな作品の背景には、科学者にも似た観察眼と考え抜かれた制作手法が隠されている。

創作の秘密「守一の謎」に迫る

 油絵だけでなく水墨画、スケッチ、メモ書きなど250点以上の作品や資料が一堂に会した本展覧会では、①闇の中でのものの見え方を追求した1910~1920年代の作品②風景画や裸婦像などを多く描いた1920~1950年代の作品、そしてもっとも広く知られる画風の特徴である③明快な色とかたちで描かれた1950~1970年代の作品といった、年代に沿った3部構成により氏の画業を紹介する。
 そればかりでなく、「守一の謎」という記述を通して、作家の創作の秘密が解き明かされている。

00_kumagai_04.jpg

熊谷守一 1971年 (91歳) 撮影:日本経済新聞社

穏やかな作品の背景にある洞察力

 例えば、冒頭に述べた「守一様式」の作品は、一見するとささっと簡単に描いたかに見える。しかしベースとなるスケッチや型紙には、色や配置などについて細かい記述が残っており、実は入念に練られた構図や配色のたまものであることが明らかである。

「絵を描いていてどうかすると、思い違いで、何でもないと思っていたのがひどくむずかしかったりすることがあります。そんなときは一人でベソをかくんですわ。そのベソをかくのを、自分がもう一人いて見ているんです。その見ているほうのが、ベソかいている方に『このバカヤロー』っていうんですわ。それが面白いんです。」(熊谷守一)

 という創作についてのなにげない言葉からは、どのような状況下でも自分自身に対しても客観性を失わない洞察力を画家が備えていることが見て取れる。

→ 次ページ:
生きることと生きものへの愛

メルマガ登録はこちら