懐かしの旧車 あだ名は「水中メガネ」! ホンダ「Z360」、実は今年で生誕50周年。でも、まだまだ元気に走ってます

ホンダ初の軽四輪乗用車「N360」のスポーティータイプ「Z360」。 発売から50年経つ現在も「水中メガネ」と呼ばれ、ファンに愛されている1台だ。 その魅力に迫る。

2018年12月27日 掲載

ホンダ Z360|Honda Z360

ホンダ「Z360」1973年式。グレードは「GSS」だ。ちなみに正式名称は「Z」である。現代では、「Z360」と通称で呼ばれることが多い。「トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑 2018」にて撮影。

 1955年5月に通商産業省(現・経済産業省)が発表したのが、俗に「国民車構想」といわれる、"4人乗り・最高速度時速100km・価格15万円"を目標とした「国民車育成要綱」だ。その発表を受け、ホンダは念願の4輪市場への進出を本格化させるべく、軽トラック、スポーツカー、軽4輪乗用車の研究開発を開始する。

 そしてホンダは初の4輪車として軽トラック「T360」を1963年8月に発売し、その2か月後には同社初の乗用スポーツカー「S500」も市場に投入。そして軽四輪の市販車は1967年3月に結実。それが「N360」だった。

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11月18日に開催された「お台場旧車天国2018」(リポート記事はこちら)で展示された「T360」。松戸にある昭和の杜博物館からの出展(年式は不明)。「T360」については、自動車ライター・下野康史氏の別記事「僕は、車と生きてきた」の『ホンダ・T360』に詳しい。

ホンダ Z360|Honda Z360

ホンダ「N360」。ホンダ初の軽4輪乗用車として誕生した。画像は「N360S」。「N360」については、別記事『欠点も魅力のうちの痛快車。ホンダN360【元自動車メーカーエンジニアが選んだ 哲学が感じられる名車たち】』に詳しい。

大ヒットした「N360」がベースのスポーツタイプ「Z360」

 「N360」は当時の軽自動車としては高い性能を有しており、それに対して価格は他社の軽自動車より数万円安い31万3000円で発売されたことから、瞬く間にヒット。販売台数は右肩上がりで伸び続け、生産開始43か月となる1970年9月には累計100万台を達成。軽自動車業界の勢力分布図を大きく塗り替えていったのである。

 その100万台を達成した翌10月に登場したのが、「N360」にスポーティな要素を加味した「Z360」だった。ちなみに正式な車名は「Z」であり、「Z360」は愛称だ。おそらく、「N360」の系譜であること(軽自動車であること)からつけられたのだろう。

 また、日産「フェアレディZ」の愛称が「Z」であることから、区別する意味合いもあったことも考えられる。さらに1990年代末になって、「Z」の名はタイプを大きく変えてSUV系軽4輪として復活。2代目の時期には軽自動車の排気量は660ccとなっていたことから、"360"がついていることで初代ということがわかりやすかった。

ホンダ Z360|Honda Z360

「Z360」は、円谷プロの特撮ヒーローロボット番組「ジャンボーグA」(1973年)に登場。主人公・立花ナオキの操る2機目の巨大ロボットとして、物語の中盤から陸戦用パワータイプの「ジャンボーグ9」が加わるが、ナオキの愛車「Z360」(通称「ジャンカー」)が変形するという設定だった。平和を愛する高度な宇宙人の技術で改造されたため、質量保存の法則を無視して、コンパクトな軽自動車が全長50メートルもの巨大ロボットに変形した。

ホンダ Z360|Honda Z360

「Z360」のリアビュー。「Z360」もベースとなった「N360」もとてもコンパクトだが、大人が4人乗車可能なスペースが確保されている。「まずユーザーの利便性ありき」がホンダの当時からのクルマづくりのコンセプト。

ホンダ Z360|Honda Z360

「Z360」のサイドビュー。センターピラーやドアサッシュ(ウインドーの保持・ガイドパーツ)がなく、上下スライド式のクォーターウインドーも降ろせることから、サイドの開放感は大きい。

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「水中メガネ」という愛称がつけられた理由に迫る!