懐かしの旧車 【トヨタ博物館 クラシックカー・フェス 2018】(4)
1960年代後編は、ホンダ「S800」やいすゞ「ベレット 1600GT」など国産の名車を集めてみた!

トヨタ博物館が2001年から東京で開催しているクラシックカーと旧車の祭典「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑 2018」。 そのリポート第4弾は、1960年代の国産車をお届けする後編。

2018年12月19日 掲載

 ヘリテージを尊び、人とクルマの未来を見据え、日本の自動車文化を育んでいくことを目的としたクラシックカーと旧車の祭典「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑 2018」。

 その第4弾は1960年代国産車後編として、「コンテッサ1300 クーペ」、ホンダ「S800 クーペ」、トヨタ「パブリカ コンバーティブル」、いすゞ「ベレット 1600GT」および「ベレット 1600GT ファストバック」の4車種5グレード+αを取り上げる。

【これまでのリポート一覧・すべて動画あり!】

第1弾:戦前~1940年代半ばまでの全8台を紹介!動画あり ロールス・ロイス「ファントムI」が優美だった。
第2弾:動画で見る1950年代の名車たち。「ミニ」など、辞典なみの情報量で紹介!

第3弾:ピックアップ型「ランクル」など、1960年代、魅惑の日本車を集めてみた! 前編

走行動画:日野「コンテッサ 1300クーペ」~いすゞ「ベレット 1600GT ファストバック」

 

走行するのは、日野「コンテッサ 1300クーペ」、ホンダ「S800 クーペ」、トヨタ「パブリカ コンバーティブル」、いすゞ「ベレット 1600GT」、いすゞ「ベレット 1600GT ファストバック」の4車種5グレード。

巨匠ミケロッティが手がけた日野「コンテッサ 1300 クーペ」

 日野は今でこそ大型車メーカーだが、1967年までは乗用車も製造していた。その撤退の3年前、1964年に発表したのが「コンテッサ1300」だ。先代の「コンテッサ900」から排気量をアップしての登場となった。ちなみに「コンテッサ」とは、イタリア語で"伯爵夫人"を意味する。

 そして1965年に追加されたのが、2ドアクーペ「コンテッサ 1300 クーペ」だ。「コンテッサ1300」はイタリア人カーデザイナーの巨匠ジョバンニ・ミケロッティ(1921-1980)が手がけた。このクーペモデルは、流麗なボディが伯爵夫人にふさわしい気品を持つと評される。

 その一方で、1.3LのOHVエンジンはツインキャブレター仕様で、最高出力は65馬力を叩き出した。4段フロア式マニュアルミッションを備え、最高速度は時速145kmをマーク。さらに、当時としては先進的なフロントのディスクブレーキ、またラック&ピニオンのステアリングなども採用していた。優雅さと高性能を兼ね備えていたのである。

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「コンテッサ 1300 クーペ」1967年式。日野が乗用車市場から撤退した年のモデルである。

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「コンテッサ 1300 クーペ」の特徴のひとつがロングテール。「オートモビルカウンシル2018」にて撮影。

モータースポーツの入門用としても活躍! ホンダ「S800 クーペ」

 ホンダが軽トラック「T360」で4輪市場に進出し(前編にて紹介)、その後1963年末に低価格ながら本格的なスポーツカー「S500」で初の乗用車の販売を開始した。1964年3月の「S600」を経て、1966年1月にさらにその進化型のスポーツカーとして「S800」が誕生する。"エスハチ"の愛称で呼ばれ、公道だけでなく、モータースポーツの入門車としても大いに人気を集め、黎明期の国内モータースポーツを底辺から支えたという。

 「S800」最大の特徴は、当時の量産小型スポーツカーとしては例のない、徹底的なこだわりを持って開発されたエンジン。2輪の世界グランプリを征したホンダの技術者たちが心血を注いで作り上げた水冷4気筒エンジンは、DOHCに加え、4連キャブレターを備え、ホンダならではの高回転型。排気量791ccで最高出力は70馬力/8000rpm、最大トルクは6.7kg・m/6000rpmというスペックを誇った。最高速度は時速160km、0→400mは16.9秒だったという。世界のスポーツカーの中で排気量は最も小さかったが、性能はトップクラスだったといえる。

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ホンダ「S800 クーペ」1967年式。「S500」の時はオープンボディのみだったが、「S600」になってクーペが加わり、「S800」でもオープンとクーペのボディタイプが用意された。この「S800 クーペ」は右ハンドルなので国産車に見えるが、実はオーストラリアからの逆輸入車だという。

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「S800」の先代である「S600」。1962年10月の第9回全日本自動車ショー(東京モーターショー)に発表された「スポーツ500」が、「S500」として1963年末に発売されると、その発展型として1964年3月に発表されたのが「S600」だ。「オートモビルカウンシル2018」のガレージ・イワサ・ブースにて撮影。

国産最初期のオープンカー! トヨタ「パブリカ コンバーティブル」

 通商産業省(現・経済産業省)が1955年に発表した「国民車構想」に触発され、トヨタは同年春にテクニカル・センターに大衆車研究チームを編成し、独自の実用的な小型車コンセプトを研究していく。その試作第1号は翌年秋に誕生するが、さらに何台の試作車を開発し続け、そして1960年の第7回全日本自動車ショーにて発表されたのが「パブリカ」だった。発表時は車名は決まっておらず、一般公募が行われた。そして翌1961年正月に107万件強の応募の中から、「国民から愛されるクルマ」の意味として、"public(パブリック)"と"car"を組み合わせた造語で「パブリカ」と決定した。

 オープントップにできる「パブリカ コンバーティブル」は、1963年10月に新グレードとして追加設定された。スポーツカーとしての色合いを強めるため、28馬力だった従来の空冷水平対向2気筒エンジン「U型」を、ツインキャブレター仕様にして36馬力にパワーアップした「U-B型」にスイッチ。最高速度は時速120kmを誇った。当時の国産車にオープンモデルは前例がなく、「パブリカ コンバーティブル」はダイハツの「コンパーノ スパイダー」(前編で紹介)と共に、オープンカーの魅力を広めた国産車として歴史に名を残している。

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「パブリカ コンバーティブル」1968年式。1966年末には、ソフトトップを着脱式ハードトップに変更したディタッチャブルトップモデルも追加された。

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「パブリカ」1964年式。トヨタの小型実用小型車として1961年に誕生。当時、「パブリカ」クラスの小型車はRR車が主流だったが、開発当初はFF車を目指した。最終的に、重量とスペースの問題を長い時間をかけて解決し、FR車となった。また、同車のコンポーネントを利用して作られたライトウェイトスポーツが、前編で紹介した「スポーツ800」だ。「トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル 2017」にて撮影。

国産初のグランツーリスモ! いすゞ「ベレット 1600GT」

 1964年の東京オリンピック開催のため、1963年に東京では首都高の1号や4号が開通し、高速走行時代が幕を開けた。そうした中で、同年にいすゞが新開発の5人乗り乗用車として発表したのが「ベレット」だった。さらに、1964年4月になると、レースで培った技術を投入して走りを求めたグレード、「ベレG」の愛称で知られる「ベレット 1600GT」が追加に。これが国産車として初となる、高性能かつ長距離のドライブを目的としたグランツーリスモ(グランドツーリングカー)とされている。

 「ベレット 1600GT」で長距離ドライブを考慮した要素のひとつが、身体にピッタリとなじむようにデザインされたバケットシートを選択できたこと。ドライバーズシートにはヘッドレストが装備され、助手席にもヘッドレストの取り付けアンカーが内蔵されていた。

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「ベレット 1600GT」1969年式。排気量1584cc・水冷直列4気筒OHVエンジン「G161型」を搭載し、90馬力を絞り出した。同車に関しては、自動車ライター・下野康史さんによる別記事『いすゞ・ベレットGT』もご覧いただきたい。

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今回は2台の「ベレット 1600GT」が参加し、こちらが受注生産車の「ファストバック」1969年式。349台しか生産されなかった。ノーマルの「1600GT」と「ファストバック」の違いは後部のデザインと、テールランプの形状。ノーマルの「1600GT」は四角で、「ファストバック」は丸形。

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ファストバックとは、ルーフからリアウインドーを経て、テールまでが連続的につながっているクーペの1スタイル。トランクがないことも多い。こちらは、2017年のトヨタ博物館クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑で撮影した「ベレット 1600GT ファストバック」。

2018年12月19日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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