懐かしの旧車 【トヨタ博物館 クラシックカー・フェス 2018】(3)
ピックアップ型「ランクル」など、1960年代、魅惑の日本車を集めてみた! 前編

トヨタ博物館が2001年から東京で開催しているクラシックカーと旧車の祭典「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑 2018」。 そのリポート第3弾は、1960年代の国産車をお届けする前編。 日産「ブルーバード 1200 ファンシーデラックス」1963年式からトヨタ「ランドクルーザー(FJ45型)」1967年式までの5車種を紹介する。

2018年12月13日 掲載

 ヘリテージを尊び、人とクルマの未来を見据え、日本の自動車文化を育んでいくことを目的としたクラシックカーと旧車の祭典「トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル in 神宮外苑 2018」。その第3弾は1960年代国産車前編ということで、5車種6グレードを取り上げる。

 

戦前から1940年代の車種を集めたリポート第1弾はこちらから
1950年代の車種を集めたリポート第2弾はこちらから

走行動画:日産「ブルーバードファンシーデラックス」~トヨタ「ランドクルーザー(FJ45型)」

 

日産「ブルーバード 1200 ファンシーデラックス」、日産「ブルーバード 1600 SSS」、ホンダ「T360」、トヨタ「スポーツ800」、ダイハツ「コンパーノ・スパイダー」、トヨタ「ランドクルーザー(FJ45型)」を収録。再生時間2分31秒。

日本初の女性仕様車! 日産「ダットサン ブルーバード 1200 ファンシーデラックス」

 日産が戦後に開発した小型セダンの3代目である「310型」。そのデビューは1959年のことで、同車につけられた愛称が「ブルーバード」だった。1961年には2度目のマイナーチェンジが行われて「312型」に。その際、新グレードとして追加されたのが「DP312型」、日本初の女性仕様車「ダットサン ブルーバード 1200 ファンシーデラックス」だったのである。

 「ファンシーデラックス」は、ボディとホイールをおそろいにしたレモンクリーム系もしくはピンク系のカラーが用意された。そしてウインカー作動時にオルゴールが鳴るほか、遮光カーテンや助手席のサンバイザー内蔵化粧ポーチ、傘立て、ハイヒールスタンドなど、36点にも及ぶ専用装備が備わっている。

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「ブルーバード 1200 ファンシーデラックス」1963年式。女性仕様ということで、当時、欧米でも大きな話題となったという。初代「ブルーバード」の中でも、「ファンシーデラックス」は現存車両がとても少ない。

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こちらは、2代目「410型」の「ブルーバード 1600 SSS」1965年式。SSSはスーパー・スポーツ・セダンの略で、走りを追求した最上位グレードだ。これ以降のモデルでも踏襲され、「SSS」は「ブルーバード」の代名詞となっていく。別記事『幸せの青い鳥がいっぱい!日産「ブルーバード」の初代~3代目を集めてみた!』でも多数の「ブルーバード」を紹介した。

ホンダ初の4輪車は日本初のDOHCエンジン搭載車!「T360」

 ホンダは1963年に4輪に進出。その第1号が、本田宗一郎らの「働く人を支えたい」という想いを結実させた軽トラック「T360」だった。人と荷物のスペースを確保しつつ、2990mmというコンパクトな全長を実現するため、エンジンは床下に搭載。それも4輪に均等な荷重がかかるよう、可能な限り車体中心に寄せたリア・ミッドシップが採用された。これにより、前後バランスはほぼ50対50を達成したという。また、助手席搭乗者の邪魔にならないよう、変速レバーはステアリング右側のコラムシフトとなっているなど、働く人のことを考えた作りとなっていた。

 そして、パワフルな走りを実現するため、スポーツカーの技術が採り入れられ、エンジンは日本初のDOHCに。排気量354ccの直列4気筒エンジン「AK250E型」は鋳鉄製のスリーブ以外はオールアルミで、気筒ごとに京浜(現・ケーヒン)製キャブレターを備えた。これにより、最高出力30馬力/8500rpm、最大トルク2.7kg・m/6500rpmをマーク。1960年代の軽トラックながら最高速度は時速100km以上を叩き出し、「スポーツトラック」と称されたのである。

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「T360」1965年式。オーナーは2004年頃にボロボロの同車を購入し、さらに部品取り用のドナー車として3台を入手し、"ヨンコイチ"でこの「T360」完成させたそうだ。

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翌日開催された「お台場旧車天国2018」(リポート記事はこちら)にも「T360」が展示されていた。松戸にある昭和の杜博物館からの出展で、同じく極めて状態のいい「T360」が展示されていた。年式は不明。

"ヨタハチ"ことトヨタ初の本格スポーツカー「スポーツ800」

 通商産業省(現・経済産業省)が1955年に発表した「国民車構想」に触発され、トヨタが独自の実用的な小型車コンセプトを考案。1961年に誕生したのが「パブリカ」だった。そして翌年の第9回東京モーターショーで、同車をベースにしたスポーツモデルのコンセプトカー「パブリカスポーツ」が発表される。そのスライディングキャノピーを、通常のドアと着脱式ルーフに変更して市販化したのが、ツーシーターのコンパクトスポーツカー「スポーツ800」だったのである。

 「パブリカ」をベースにしたプラットフォームに空力重視のボディを搭載し、580kgという軽量に仕上げることに成功。最高速度は時速155kmをマークする一方で、燃費も優れていたという。本格的なスポーツカーとしての走りと、着脱式ルーフによるオープンカーとしての走行を手軽に味わえるクルマとして若者を中心に支持され、"ヨタハチ"の愛称で呼ばれた。

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「スポーツ800」1966年式。車名にある800とは排気量を指す。排気量790cc、ツインキャブレター仕様の空冷2気筒水平対向エンジン「U型」は45馬力を発揮した。

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「スポーツ800」はモータースポーツでも活躍した。画像は、将来を期待されながら若くして事故死した浮谷東次郎のレース用車両のレプリカ車。MEGA WEBにて撮影。

ダイハツの乗用車第1号「コンパーノ・スパイダー」

 1907年に国産初の吸入ガス発動機(最高出力は6馬力)を開発したダイハツ(創業当時の社名は発動機製造)。その後、「ミゼット」など商用三輪車を手がけていくが、1963年には乗用車市場にも進出。その第1号が「コンパーノ」だった。

 当時のクルマはラダーフレームを採用しているものも多く、「コンパーノ」もその1台。ラダーフレームは重量がかさむが、当時の技術でも高い剛性を確保しやすいというメリットがあった。同時に、ボディとフレームが分割されているため、ボディタイプを変更しやすいという生産の面で有利な面も。「コンパーノ」はまずワゴン/バンが投入され、トラック、ベルリーナ(クーペ/セダン)、そしてスパイダー(4人乗りオープンカー)とさまざまなモデルが開発された。スパイダーが追加されたのは1965年のことで、その際に合わせて排気量が797ccから958ccに拡大されている。

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「コンパーノ・スパイダー」1965年式。欧州的なデザインなのは、イタリアのカロッツェリア(デザイン工房)のヴィニャーレに依頼したことによる。「コンパーノ」とはイタリア語で「仲間」を意味する。

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第45回東京モーターショーのダイハツ・ブースで展示された、4シーターの2ドア・クーペの「コンパーノ ベルリーナ」。同モーターショーでは、「コンパーノ ベルリーナ」の思想を継承したコンパクト4ドアクーペのコンセプトカー「DN コンパーノ」も出展された。第45回東京モーターショー(2017)にて撮影。

海外仕様のピックアップトラック型トヨタ「ランドクルーザー」

 国内においては、クロスカントリータイプの4輪駆動車のイメージが一般的なトヨタ「ランドクルーザー」。1960年に登場した3代目は通称「40(ヨンマル)系」といわれ、現在でも人気が高い。40系は、国内ではホイールベースがショート、ミドル、ロングの3種類が用意され、海外仕様として1963年にピックアップトラックとキャブ&シャシー用が追加された。

 このFJ45型は海外仕様のピックアップトラックだが、実は逆輸入されたものではない。製造された1967年から日本国内で登録されているという、非常にレアな1台だ。オーナーの説明によれば、トヨタの製造工場から海外に出荷する際に、何らかの理由があって船積みされず、国内で登録されて工場内で使用されるようになり、それを入手したのだという。

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FJ45型「ランドクルーザー」1967年式。前半分は40系の「ランドクルーザー」だが、後ろ半分が国内仕様にはない荷台となっている。国内仕様の40系は、ソフトトップ、2/4ドアバンなどだ。1967年には4ドアバンの代わりにステーションワゴンが追加された。

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FJ45型「ランドクルーザー」を後方から。ピックアップトラックおよびキャブ&シャシー用のホイールベースはロングよりもさらに300mm長い2950mm。ちなみに40系は海外では"フォーティ"と呼ばれているという。

2018年12月12日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)

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