次世代モビリティ 自動運転の鍵を握る「ライダー」って何だ?
ボルボが新しい自動運転技術を公開

ボルボは11月28日、アメリカ・ロサンゼルスで開催週の自動車テクノロジー展「Automobilty LA」で、LiDAR(ライダー)を使った次世代の自動運転技術を披露した。

2018年11月30日 掲載

JAF メディアワークス IT Media部 秋月新一郎

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ボルボとルミナー社が共同開発した「LiDAR」のリモートセンシング技術を使い構築された3Dマップ。

 自動車メーカーやIT企業がしのぎを削って開発を進める自動運転技術。その開発車両には、必ずと言っていいほどルーフの上に大掛かりな機材が載っている。機材の中身は、周囲の状況を把握するためのカメラやレーザー機器だったりするのだが、いま自動運転車開発のレースに勝つ上で"最も重要なハードウエア"と熱視線を浴びているのが、「ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging)」と呼ばれる、光を用いたリモートセンシング技術だ。

 ボルボは今回、LiDARの開発技術で存在感を急速に高めているシリコンバレーのスタートアップ企業、ルミナー社と提携。11月26日から開催中のアメリカ・ロサンゼルスで開催中の自動車テクノロジー展「Automobilty LA」で、共同開発した次世代の自動運転技術を披露した。

 LiDARとは、1秒間に何百万回ものパルス状の赤外線を照射し、跳ね返って戻ってくるまでの時間を測定することで、クルマ周辺の3Dマップを構築する技術。集められた情報は点群データとして情報処理され、上記のような画像がリアルタイムで生成される。

 公開された動画を見ていただければより理解できると思うが、LiDARが極めて優れている点は、人やクルマ、建物だけでなく、腕や脚までも識別できる高い解像度を持つところにある。もちろん既存のカメラでも認識できるのだが、それはあくまで2Dでのこと。完全な自動運転を実現させるには、高解像度な3次元の空間認識技術が必要不可欠なのだ。

 もちろんLiDARに弱点がないわけでない。測定距離の短さとコストの高さが、これまでの大きなウイークポイントだった。が、いずれの課題もほぼ解決されそうな気配である。自動運転における測定距離の必須条件は200mとされてきたが、ボルボとルミナーが共同で開発した新型は250m先までの物体を検知。また1機あたり数百万円とも言われる価格も量産化に目処がつき、低コスト化が実現しつつあるという。

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 ボルボはLiDARの最新技術を採用した自動運転車を、今年9月に発表したスタディモデル「360c」を用いて解説。自動運転車の4つの使い方として「睡眠できる環境」「動くオフィス」「リビングルーム」「エンターテイメントスペース」を提案する。

「1903年にライト兄弟が空を飛んだとき、彼らは現代の空の旅がどのようになるかについての手がかりを得ていませんでした。私たちは、自動運転の未来がどうなるかについてまだ理解できていませんが、人々の移動手段、都市計画、インフラの活用方法にも大きな影響をもたらすでしょう」と語るのは、ボルボ・カーズ企業戦略担当上級副社長のマーテン・レーヴェンスタム氏だ。

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 LiDARを用いた自動運転車の開発は、いま多くの自動車メーカーとサプライヤーが競っている。日本ではトヨタが同じくルミナー社と提携し、先代のLSに搭載して開発中。フォードも自動運転技術を得意とするアルゴAI社を2017年2月に傘下に収め、LiDAR企業のプリンストン・ライトウェイブ社を同年10月に買収した。またGMもLiDARシステムの新興企業、ストローブ社を同10月に買収している。

 そして忘れてならないのがGoogleの存在だ。同社は自動運転プロジェクトとして「ウェイモ」を立ち上げ、莫大なリソースを武器に独自システムを構築中だ。ちなみに「オートパイロット」という名の半自動運転技術で名を馳せたテスラだが、イーロン・マスク氏はカメラとレーザーを組み合わせた現行の技術で十分と考えているそうで、割高なLiDARを用いた自動運転車には興味がない、と公言している。

 ともあれ、群雄割拠の自動運転車開発レースはまだ始まったばかり。今後もその戦いの行方に注目したい。