ニュース・プラス 土砂災害の防止にもIT技術をフル活用。
UAV(無人航空機)の活用やICT化も続々と。

2018年11月19日 掲載

JAFメディアワークス IT Media部 大坂 晃典

 富山県、石川県、福井県、岐阜県の4県にまたがる白山国立公園内の砂防工事など、土木工事においてICT(情報通信技術)化に取り組んできた石川県の竹腰永井建設株式会社。UAV(Unmanned aerial vehicle:無人航空機)による調査/点検業務に多数の実績があるアイエイチプランニング株式会社(東京都)。この両社がタッグを組み、砂防設備管理にUAVを活用するプロジェクトをスタートさせた。

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洪水時に土石流を捉え、土砂の流れを調節する砂防施設。

そもそもUAVって何?

 UAVとは無人飛行機の総称で、今やすっかり名の知れたドローンと同じ意味だ。ただ、プロペラの無いものをUAV、プロペラのあるものをドローンと使い分けることもあるようだ。

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UAVもドローンも、無人飛行機の総称と覚えておこう。

これまでの砂防設備管理の課題とUAVの可能性

 砂防施設の管理はその地形特性上、点検には高所作業や急斜面など足場が悪く転落などの危険が伴う。UAV(無人航空機)を点検調査ツールとして用いることにより、危険箇所の把握や土砂水源の確認、また岩盤に発生している亀裂部分の特定など、実際の作業計画段階での安全対策や法面施工工法の検討などの参考になるとしている。

ICT化の実現とUAV活用の問題点

 ICT(情報通信技術)化に関しては、公共事業において、石川県でも一部で試行されるようになった。これまでは難しいとされていた急峻な地形、立木、岩盤、転石などの多い現場でも、ICT化による測量や3次元データ化を進めてきている。これに加えUAVを活用することで、人の手だけでは難しい効率的な点検が実施できるようになる。しかし、砂防設備のある山間部ではGPSの捕捉が少なくなる場所もあり、UAVの機体が不安定になりやすい。GPSセンサの切れた状態で安定飛行させることや、斜面に沿って一定の距離を保ちつつ手動飛行で撮影するには、ある程度の操縦技術や経験を要するためだ。

2つの企業がタッグを組んで問題点を解消!

 その問題を解消してくれるのが、竹腰永井建設とタッグを組んだアイエイチプランニング。同社は航空法における国土交通省の全国包括飛行許可を受けている。設備点検の経験が豊富なパイロットも在籍し、現場での実績もあるため、UAV操縦についての問題がクリアとなった。

「可視」「赤外線」2つのカメラで同時撮影も

 本プロジェクトで組んだ2社は「可視」と「赤外線」2つのカメラを同時撮影できるUAV機体を使って、白山国立公園内の砂防施設の検証を行っている。

 下の2つの写真はUAVを使い、人が立ち入れない箇所を上空から撮影したもの。可視カメラで撮影した画像では、いくらレンズが高精度でも岩盤表面の状態しかわからない。しかし、同じ箇所を撮影した赤外線カメラでは、人の目線からは発見できない岩盤の亀裂を発見できた。こうした状況が把握できることで、急な岩盤滑落による事故などを未然に防ぐことが可能になる。

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高精度な可視カメラによる撮影画像

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「赤外線カメラ」撮影画像からは、斜面から山水が染み出している箇所を発見。「可視カメラ」だけでは見つけづらい部分も温度分布が一目で分かる「赤外線カメラ」を使うことにより効率的に異常の確認が可能になる。

 このように、UAVは非常に有用性が高く、実績のあるパイロットがいれば手動でも岩盤の状況を調査することができる。

 これから冬場を迎えるにあたり、積雪などでわかりにくくなる砂防管理エリアの現状把握なども必要となる。そうした状況に対しても、本プロジェクトでは、UAVの有用性について引き続き検証を重ね、より多くの砂防管理エリアにも対応を行っていきたいとしている。