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2018/11/08

「ブリヂストン×武蔵野美術大学」の共同展示は、独創的なアイディアの泉だった!

 株式会社ブリヂストンは、「ブリヂストン×武蔵野美術大学」として、モビリティの先行デザインを考える共同プロジェクトの研究成果を、同社の企業博物館「ブリヂストンTODAY」(東京都小平市)の1階イベントスペースで展示した。

ブリヂストン×武蔵野美術大学とは

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今回の展示が行われた企業博物館「ブリヂストンTODAY」。ブリヂストンの歴史、タイヤの構造説明、ゴムを使った免震技術の見学、ブリヂストンの歴代CMを見ることができるビデオライブラリーなどが常設展示されている。

 「ブリヂストン×武蔵野美術大学」は、「2030年のモビリティデザインと、それを支える足回りのデザイン」をテーマとしたオープンイノベーション企画で、2013年にスタートした。

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同博物館には、ブリヂストンが1997年に参戦したF1のテストカー。さらに、佐藤琢磨の直筆サイン入りのタイヤ、バイクの世界耐久選手権「EWC」でチャンピオンとなった実車「CRB1000RR」なども展示されている。

 今年は、武蔵野美術大学工芸工業デザイン科でモビリティデザインを専攻している3年生11名が参加し、コンセプトの立案からデザイン計画、モックアップの制作までを約8週間かけて取り組んだという。単に未来のモビリティデザインを提案するだけでなく、「足回り」すなわち「タイヤ」に着目した新しいアイディアも同時に研究するというのは、ブリヂストンとの共同研究ならではだろう。

全11作品を展示!さまざまなコンセプトが面白い。

 実際に展示された作品を写真とともに紹介しよう。

■ 最優秀賞「BOTANICA」 作者:中村紫音さん

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ルーフとボディにあるガーデニング部で植物を育て、手前のクリーム色の部分に乗車して出かけるという斬新なアイディア。子育てを終えた40~50歳代のガーデニングや環境問題に興味のある女性をターゲットとしている。

 今回の展示で最優秀賞に輝いた「BOTANICA」は、「微生物による発電で車を動かし、自慢のガーデニングを他の人と見せ合うことによって新たなコミュニティを形成する」といった独創的なアイディアに基づいたコンセプトカー。

 植物が放出した有機物(主に炭水化物)を微生物が分解し、その分解の際に発生した電力を動力にするそうで、実現すれば現在からは考えられない光景が道路上に広がりそうだ。車で育てた野菜を食べる自給自足生活もできるかもしれない。

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「BOTANICA」のタイヤは、エアレスの軽量トレッドで構成されている。緑色の部分は、簡単に交換が可能で、ガーデニングのイメージに合わせて色を変えることができる。(タイヤに関連する記事:タイヤ-空気=21世紀のタイヤ!? 「エアレスタイヤ」の現状に迫ってみた! )

 作者の中村紫音さんは「規制や抑制といったイメージの強い環境問題の改善方法を、楽しく遊び心のある方法で実現したいと考えて着想しました。植物を育てるだけで発電ができるという夢物語のような提案に説得力を持たせる作業に苦労しました」とコメントしている。


■ 優秀賞「Mobook」 作者:遠藤耀平さん

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前面はフィルム上のスライドドアで、両側の青い部分が中心に向かって閉じる。本のように折りたためることから「Mobook」と命名されている。

 「Mobook」(モブック)のコンセプトは、必要最小限の駐車スペースで、効率的にモビリティを提供できる「たためる1人乗りシェアカー」。

 実際に展示してあったモックアップも折りたためるように作られている。本のようにたたみ、円柱状の駐車場に差し込むように駐車するというアイディアだ。たためる車というのは斬新だ。実現すれば、小さな土地に駐車場を作ることが可能になる。

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「Mobook」のタイヤは、折りたたむという特性上、緩衝スペースを薄くデザイン。こちらもエアレスタイヤを想定している。

 作者の遠藤耀平さんは「ルーフやフロア、シートをどのように折りたたむのか。駐車、展開、走行時のタイヤの動きをどうするのかなどハード面の問題がたくさんあって苦労した」とコメントしている。


■ 優秀賞「PARBO」 作者:石崎颯磨さん

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前後のハッチが入り口となり、後ろから乗って前から降りる。車椅子での乗り降りを簡単にできる。前方の顔のような部分がヘッドランプ。全自動のロボットカーがコンセプトなだけあって、可愛さを感じるフォルムだ。

 「PARBO」(パーボ)のコンセプトは、前後のドアが開くことでウォークスルーのように車椅子でも乗り降りが可能な「バリアフリーロボットカー」。公共交通機関の便数が少ない地方などで、気軽に出かけられない高齢者などを支援することを目的としている。

 スマホやタブレットなどから配車依頼を発信すると、PARBOが待機している基地から自動でユーザーのもとまで向かい、目的地まで送り届けるというアイディアだ。AIやロボット技術の発達と自動運転の発達が高次元で結びつくことで、実現可能になるのかもしれない。

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「PARBO」のタイヤはホイールの中にモータが入っている全輪駆動。中心部に大きな空洞が設けてあり、空気を取り込んでモーターを冷却するというアイディア。

 作者の石崎耀平さんは「この課題を通して、将来的にはモビリティの領域がロボットの領域と重なってくるのではと考えるようになった。今後は、単に自動車のみを考えるのではなく、広い視野を持ってデザインに取り組みたい」とコメントしている。


 今回紹介した以外にも興味深い作品が展示されていた。どの作品も、現代社会の抱える課題を解決するため、広い分野にわたるモビリティデザインを提案していた。こういった研究を繰り返すなかで、今までは想像もしていなかった技術革新が訪れることを期待したい。

 ブリヂストンは今後も、品質や技術のみならず、デザインの面でも魅力的な商品を開発するため、大学や研究機関と協力したオープンイノベーションを取り入れ、将来に向けた新しい価値創造を追求してくという。残念ながら、今年の「ブリヂストン×武蔵野美術大学」の展示は終了しているが、また来年も、新たな未来の展示が続くことを期待したい。

ブリヂストンTODAY概要

開館日:月~土曜日(日曜日、祝日は休館)
開館時間:10:00~16:00(入館は15:30まで)
入館料:無料
所在地:〒187-8531 東京都小平市小川東町3-1-1
アクセス:西武国分寺線 小川駅東口より徒歩5分(駐車場あり)
注意事項: 夏季、年末年始および臨時の休館日あり。開館スケジュール詳細は、下記Webサイトまで。10名以上での来館や展示の解説を希望する場合は、要事前連絡。

外部リンク

2018年11月08日(JAFメディアワークス IT Media部 大槻 祐士)

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