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2018/09/20

月や火星に基地を作るとき、その建設資材を「地産地消」で。大林組とJAXAが共同研究の結果を発表

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大林組が1990年に発表した火星居住計画構想のイメージイラスト。21世紀中にはこのような基地が火星にいくつか建設されるのではないだろうか。イラスト提供:大林組

 人類が本格的に宇宙に進出し、地球外に最初の基地が建設されるとしたら、それは月となる。早ければ2020年代に小規模ながら基地が建設される計画もあり、そこから発展していくことだろう。そして、月の次に人類が進出すると考えられているのが火星だ。現在は無人機による探査が活発なだけでなく、米国などによる有人探査計画が進められている。さらには、恒久的な基地を建設して移住(植民)を行うプロジェクトもあり、人類の第2の故郷となる可能性を説く科学者も多い。

 しかし、月も火星も地球とは大きく異なる環境のため、基地や都市を建設するのに既存技術の転用がしづらいことが課題のひとつとなっている。地球で建設資材をあらかじめ作ってから輸送する方法も考えられるが、莫大なコストがかかるので現実的には厳しい。地球は重力が強いため、大量の物資を運び出すには向いていないのだ。

 そこで大手建設業の大林組がJAXA(国立研究開発法人 宇宙航空開発研究機構)と共同で、現地で調達可能な原料で建設資材を製造する方法の研究を開始。9月12日に、その成果となる月と火星の双方における製造方法を発表した。

大林組の月・火星基地建設の研究は1990年代から

 大林組は1990年代から月・火星基地の建設に必要な資材を、現地で調達可能な資源から製造する方法を研究してきた。建設資材としてのブロックを、マイクロ波加熱による焼結物として製造する方法や、「コールドプレス」と呼ばれる方法を用いた圧縮固化物として製造する方法を開発してきた。しかし、それぞれの環境や構造物の用途に適した製造方法を確立するには、加熱焼結温度を細やかに制御することや、真空に近い状態でコールドプレスすることによる材料強度への影響を明らかにする必要があったのである。

 そこで大林組は、科学技術振興機構の支援を受けて2015年4月にJAXAが中心となって結成した「宇宙探査イノベーションハブ」に参加。宇宙探査イノベーションハブとは、さまざまな異分野の人材・知識を集め、これまでにない新しい体制や取り組みでJAXA全体に研究の展開や定着を目指すために結成された組織だ。そこで大林組は研究テーマとして提案し、JAXAとの共同研究となった。

 JAXAは、大林組に対して月の表土「レゴリス」を模した模擬表土などを提供。大林組はそれ用いて、試験用ブロックを製造した。そして電子顕微鏡で表面観察や圧縮試験による強度確認を行い、基地建設に適用可能であることを確認したのである。

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月と火星それぞれの製造方法について!

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