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2018/09/12

「速くなる」エンジンオイル、発売。その凄い性能とは?
トヨタがモータースポーツで培った技術を投入

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 トヨタは9月7日、高性能エンジンオイル「トヨタ純正 GRモーターオイル」を開発、発売したと発表した。全国のトヨタ販売店や自動車用品店などを通じて販売される。

 GRとは、トヨタが進めるスポーツカーブランドの総称。モータースポーツで得た技術や知見を市販車やそのパーツに投入することで、「より良い車作り」を標榜している。

エンジンオイルに求められる性能とは?

 一般的にエンジンオイルは、走行距離を重ねるか、あるいは長期間交換しないと劣化して性能が落ちる。オイルの役割は「潤滑」だけにあると思われがちだが、実はエンジン内部の密閉や冷却、洗浄、防錆などの役割を持っている。つまり、エンジンオイルの性能が落ちるということは、エンジン自体の性能も落ちるといって過言ではない。エンジンオイルを適切なタイミングで交換することで、機関(エンジン)は期待されている性能を発揮できるのだ。

 一般的には車の取扱説明書に交換する頻度や距離が記載されている。交換するオイルもメーカー指定の純正オイルにすればまったく問題ない。ちなみにトヨタでは、エンジンオイルの交換タイミングを通常のガソリン車(ターボ車除く)で1年1万5000kmとしている。ただし、ここで「シビアコンディションを除く」となっている。トヨタのいうシビアコンディションを一部抜粋する。
・商業車として酷使されている。
・発進・停止の繰り返しが多い。
・アイドリングでの待機が多い。
・未舗装路や山道等での頻繁な走行。
・低速走行の繰り返し。
などとなっている。そうした状況では、オイル交換の頻度も変わってくるということだ。

新開発エンジンオイルの、何が凄いのか?

 トヨタが今回新たに開発したエンジンオイルは、"スポーツ用途"とされている。スポーツ走行は、通常とは異なる負荷を車にかける。その負荷が最も高くなる部品の一つがエンジンだ。速く走ることを目的にするため、通常想定されているよりも高回転でエンジンを回し続け、高い旋回Gがかかる。この状況下では、エンジンオイルが急速に劣化して、あっという間に性能が出せなくなる。そんな状況でも性能を出し続けるには、エンジンオイル自体の性能が重要になってくる。トヨタでは、ドイツ・ニュルブルクリンク24時間耐久レースへの参戦を通じて培ったレース用オイルの材料技術をベースに、市販車用の高レスポンススポーツオイルを開発したという。高性能ポリマー(撹拌抵抗が少ない高分子添加剤)やモリブデン化合物などを添加して摩擦低減させることで、レスポンスと耐久性を向上させている。このオイルには「Circuit(0W-20)」と「Touring(0W-30)」のラインナップがあり、用途は名前の通りだ。

 ここで特筆すべきは、自動車メーカーのトヨタが効果を謳ったことだろう。オイルメーカーが性能アップを謳っているものは幾多もあるが、自動車メーカー自らが高性能化を担保するのはなかなかない。「Circuit」使用時で、「86 GR SPORT(6AT)」による0~100km/h全開加速の計測では、なんと0.24sec向上したというのだ。オイルを通常のものから交換しただけでこの結果が出るのは凄い。安易に、体感できない「●●馬力アップ!」としなかったところも知見である。また、「Touring」使用時で、「Vitz GR(CVT)」の2000回転無負荷運転時の騒音データによると、室内のノイズが約3dBも低減したとしている。「オイル交換だけでそんなに静かになるなら最初からこのオイル入れといてください」とユーザーから声が聞こえてきそうだ。

 エンジンオイルに詳しい人なら、特に「Circuit」は超低粘度のオイルであることに気づくと思う。最近はハイブリッド車を中心に超低粘度のオイルが使われることがあるが、その辺にもトヨタのノウハウがあるのだろうか。先述の摩擦低減技術が効いていることは間違いない。このオイル開発に当たっては、瞬間的な性能だけでなく、約200時間にわたる高回転での連続高負荷運転のエンジン耐久試験も実施したという。メーカー希望小売価格(消費税抜き)は、「Circuit(0W-20)」で12,000円(4L缶)、「Touring(0W-30)」は8,000円(4L缶)となっている。実勢価格は定かではないが、高性能オイルとしてはかなり値ごろ感があるのではないだろうか。

2018年09月12日(JAFメディアワークス IT Media部 伊東 真一)

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