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2018/03/02

ドイツで都市ごとのディーゼル走行禁止が可能に。EVシフトにさらなる追い風か?

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 ドイツの連邦行政裁判所は2月27日、環境改善のため国内の各都市がディーゼル車の走行を禁止することができる判決を下した。
 政治家、環境保護団体、自動車業界、そしてクルマの利用者に多大な影響をもたらすこのニュースを、独国内メディアがこぞって一面に取り上げた。

きれいな空気への判決

 「健康とモビリティのための最後のチャンス」とADAC(ドイツ自動車連盟)が見出しをつけたように今回の判決は、ドイツの環境団体DUH(Deutsche Umwelthilfe=ドイツ環境支援)が、大気汚染への対策が不十分であるとして、汚染度が高いシュトゥットガルト市を含むバーデン・ビュルテンブルク州など2州を相手に行っていた裁判の最終審判となる。

 窒素酸化物(NOx)などを多く含むディーゼル車の排出ガスは、肺がんや循環器系疾患など健康への悪影響が強く懸念されているが、ドイツ連邦環境相は、都市部での窒素酸化物の増加にはディーゼル車が60%荷担していると発表している。

 ドイツ連邦行政裁判所は、「都市など自治体がディーゼル車の走行を所定の区域で禁止する法令を定めることができる」と判決した。これによりベルリン、フランクフルト、ケルン、ミュンヘンなど、大気汚染の基準値を上回る約70の都市が対応を迫られることを、フランクフルト・ルンドシャウ新聞が伝えている。

1000万台のディーゼル車が該当!?

 同新聞によれば、都市への乗り入れ規制が始まると、国内で使用されている約1500万台のディーゼル車のうち、購入後3年以上経っているディーゼル車約1000万台が排ガス規制に適合しないことになり、クルマを乗り続けるためには、車両を改修する必要があるという。

 判決では、走行禁止処置を導入する場合、利用者の不利益とのバランスを考慮すること、段階的に施行をすること、そして例外を定めている。例外としては、80%がディーゼル車を使用している職人をはじめ、警察、消防、介護サービスの車両が該当する。つまり、最も影響を受けるのは、通勤などでクルマを使用している一般ユーザーである。これを受けて、一般ユーザーがディーゼルはクリーンだとしてきた自動車メーカーに対して訴訟を起こすことも懸念されている。

 ドイツ国営放送ARDによれば、アンゲラ・メルケル独首相は、判決は処置を行う必要がある都市のみに該当するものであると、一般ユーザーをなだめるようなコメントを発表。またドイツ環境省は、今回の判決の責任は自動車メーカーにあり、ディーゼル車を最近購入した一般ユーザーが不利益をこうむらないためにも、メーカーが排ガス規制に沿う車両の改修処置を取るべきだと発言した。

 国内メディアのいくつかは、2040年までに内燃エンジンの販売禁止を発表したイギリスとフランスの例を引き合いに出し、今回ディーゼル車に対して厳しい判決が出たことで、欧州最大の自動車生産国ドイツでもEVシフトがさらに進むであろうと述べている。

2018年3月2日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)

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