ニュース・プラス キャンピングカー王国ドイツ。
その歴史と文化を、
ワーゲンバスとともに探ってみた!

2017年04月26日 掲載

団体旅行から個人旅行へ

 ドイツ人は旅行好きな国民である。60~70年代にドイツは、個人旅行を楽しむ時代に突入する。ワーゲンバスの次なるモデルチェンジは、アウトドアを楽しむドイツ人の真骨頂ともいうべき、キャンピングカーである。1953年、フォルクスワーゲンは、キャンピングカー「キャンピング・ボックス」を販売する。これは、クローゼット、棚、鏡、洗面台、ベッドなどを備えた、当時では画期的なモデルだった。

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キャンピング・ボックスからタープを張り巡らせ、屋外で食事を楽しむ家族。

 「マイホテルで旅行に!それはもう夢ではありません」。
 1956年のキャンピング・ボックスのカタログには、こんなコピーが記載されている。第一世代のキャンピング・ボックスは爆発的な人気を博した。ドイツ人の旅行好き、アウトドア好きにまさにマッチしたクルマであったのだ。キャンピング・ボックスはその後、様々なモデルチェンジを行い、60万台ものセールスレコードを記録した。

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テーブルやポップアップルーフなどが装備されたキャンピング・ボックス

自由のシンボル

 キャンピングカーはドイツ語で、Wohnwagen(ヴォーンワーゲン)、直訳すると「住居カー」という。冷蔵庫やシャワーボックスなど当時の最新装備が備えられたキャンピング・ボックスにはその後次々と便利な装備が加えられ、まさに移動式住居と化していくのである。

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外にアンテナを立ててテレビが楽しめるキャンピングカー。DIY感覚でキャンピングカーのカスタマイズを楽しむドイツ人も多い。

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家族で使うのに十分な広さのベッド。カバーの配色がいかにも70年代を彷彿させる。

 60~70年代の地中海旅行ブームに乗って、ヨーロッパでは、キャンピングカーを使って南欧にバケーションに行くのが流行した。そんな当時の浮き足立った雰囲気がカタログ用の写真からも伝わってくる。

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地中海への憧れを謳ったコマーシャル写真。

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1961年のフォルクスワーゲンのカタログ写真。「フォルクスワーゲンのキャンピングカーは、あなたがいつも夢見ていた自由な旅行を実現させます」が写真のキャプションだった。

 60年代になるとフォルクスワーゲンのキャンピングカーはアメリカにも輸出され、好評な売り上げを記録した。70年代には特にカリフォルニアのサーファーたちのアイコン車として愛され、ヒッピー達が旅行に使うようになると「ヒッピーバス」とも呼ばれ、自由なライフスタイルの象徴となるのである。「キャルルック」と呼ばれるカリフォルニアのライフスタイルに、ワーゲンバスは欠かせない存在として自動車史に刻まれている。

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