JAF Mate Neo くるナンデス

2018/07/14

「やればできる」のホンダイズムを具現したS600
【元自動車メーカーエンジニアが選んだ
哲学が感じられる名車たち】


001s.jpg

「ホンダS600」(1964~1965年)全長×全幅×全高:3,300×1,400×1,200mm 軸距:2,000mm 車重:715kg エンジン:直列4気筒 606cc 4連キャブレター 出力57ps/8,500rpm トルク:5.2kgm/5,500rpm 最高速:145km/h 変速機:4段MT サスペンション:F・ダブルウイッシュボーン・トーションバー/R・トレーリングアーム+コイル 価格:509,000円

果敢なチャレンジ精神が生んだS500、S600

 今から50年以上前、1964年のことだ。まだ小メーカーだったホンダは、それまでバイクレースのマン島TTや世界GPには挑んでいたが、無謀にも四輪の生産開始とほぼ同時期に、モータースポーツ最高峰のF-1に挑戦した。

 当時のF-1エンジン規定は、1.5リッター。そこで125㏄のバイクエンジンを12個つなげるという発想で、V12エンジンを開発。出力は220ps/12000rpmだった。気筒数を増やすことは重量的に不利だったが、その後パワーアップを施し、ついに初参戦翌年の最終戦メキシコGPで優勝を果たした。ドライバーはリッチー・ギンサーである。こうした果敢な挑戦によってホンダの名は短期間に世界に轟いた。

 このことから、高い目標を掲げて「やればできる」という信念が、ホンダ哲学の一つとなった。そのためホンダには"哲学車"が多いのだが、なかでもS600はその筆頭であると思う。

 S600の前身は、62年の全日本自動車ショーに登場したS360とS500の2台のスポーツカーを展示したことに始まる。この格好いいスポーツカーを一目見ようと、黒山の人だかりができた。そして、新聞紙面で市場調査を兼ねた価格クイズも行った。いくらなら買うかというもので、応募数が最も多かったのは、48万5000円。しかしホンダは、その期待を上回る45万9000円で出したのだ。DOHCのオープンスポーツがこの値段で手に入るのかと、クルマ好きのみならず多くの人々の話題をさらったのは言うまでもない。このときS500のみが販売され、1年後にS600が登場し、その後S800やクーペボディも追加された。

→ 次ページ:
S600がどれほど高性能だったのか

メルマガ登録はこちら