JAF Mate Neo くるナンデス

2018/06/27

一切他のマネをせず。スバル360
【元自動車メーカーエンジニアが選んだ
哲学が感じられる名車たち】

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「スバル360」 1958〜1970年 全長×全幅×全高:2990×1300×1310mm 軸距:1800mm トレッドF/R:1140/1030mm 車両重量:385kg エンジン:2サイクル強制空冷単2気筒61.5×60.0=356cc 圧縮比:6.5 出力:16hp/4500rpm トルク:3.0kgm/3000rpm 最高速:83km/h  変速機:3段MT サスペンション:F・トレーリングアーム/ R・スウィングアクスル+トーションバー ブレーキ:FRともドラム タイヤ:4.50-10 価格:425,000円 延生産台数:392,016台

国民に愛されたスバル360

 全長が3mに満たない愛くるしいこのクルマは、家族4人を乗せ、10インチのちっぽけなタイヤをグルグル回し、元気よく日本を走り回っていた。その姿は幸せな家族の象徴のようでもあった。(関連記事

 今の軽と比較すると、全長は40㎝、全幅で18㎝も小さく、車重はわずか3分の1しかない。それでも小さく感じさせない素晴らしさがある。

 後ろに積んだ360㏄の空冷2サイクルエンジンは、わずか16馬力だが、走りは排気音と同様に軽快だった。車重が競合車の540㎏に対して385㎏しかなかったからだ。それはタマゴの殻のように薄い鉄板(0.6t)のモノコックだったからで、巷では「さすが飛行機屋のクルマだ」と高く評価されていた。もちろん今の軽が重いのは普通車と同じ衝突安全基準をクリアしているからだが。

 乗り心地も秀逸で、深い轍のある道でもスウィングアクスルとトーションバーの組み合わせはしなやかだった。ところがこのサスペンションが災いして、コーナーでちょっと無理をすると、もんどり打って転倒することもあった。運転者は、グラスファイバーの天井を外し、そこから這い出してクルマを起こし、何ごともなかったかのようにまた走る。だからと言って目くじらを立てて、ディーラーに文句を言うわけでもなかった。

 開発初期には「FFにすべき」という意見もあり、かなり議論したようだが、まだ等速ジョイントの技術が確立されておらずRRに決定。また、シトロエン2CVやフィアット600、ロイトなどを勉強こそしたが、他車のマネは一切しなかったという。

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デザインの手法も実にユニークだった

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